一年を無事に過ごさせて頂き、
またこうして皆様方に新年のご挨拶が出来ますことを、
心から感謝申し上げます。
年末に書棚を掃除していて、ふと国語辞典を手にとってみた。
いつ頃に買ったものか忘れてしまったけれど、かなり古いことは間違いがない。
随分と手にしていなかった辞書にはうっすらと埃が被り、
表紙は色褪せていて言い知れない罪悪感に苛まれる。
調べたいことがあれば言語に拘わらず、
ネットで検索すれば、あっという間に、知りたいものが現れる。
デスクの場所に行くことにすら億劫な時には、
携帯を開いてググれば其れで済んでしまう。
そんな月日をどれだけ過ごしてきただろうか…。
PCが無かった時代、何かを調べようとして辞書のページをめくっては、
フムフムと見入ってしまい、
目的にたどり着くまでに、随分と寄り道をしたものです。
その寄り道が結構楽しく、驚きや発見が沢山あったのを、
脳が記憶しているだけではなく、
情動を伴って魂が覚えています。
今は僅か数秒で目的にたどり着き、
とても便利にはなったけれど、
寄り道の楽しさや感激を捨ててしまったのだと、
パンパンと埃をはらいながら、久し振りにページを開いてみました。
何を調べるでもなく、パラパラとページをめくっていると、
何だか人の人生に似ているような気がしてきいます。
ネット検索で一気にたどり着くのも、
重たい辞書を手に余しながら、
何故か声に出しては、あいうえ…、おっと、
と張り付いたページを、一枚一枚剥がすようにめくるのも、
同じ人生の歩み方なのだろう…。
目的に早く着こうとすれば、そこにたどり着くまでのことは、
殆ど記憶に残りはしないし、その必要性すら感じない…。
でも私たちは、いつの日か誰もが、
思い出という人生の足跡を振り返り眺めながら、
時を過ごす「人生の季節」に出会うのです。
ほんの少し寄り道をしても、
そこで見た光景や出会った人との様々な思い出は、
自身が生きてきた証です。
名前の知らない方との何気ない会話が、
ずっと心の中に生き続けることだってあるし、
ゆきずりの恋に胸を痛めることも、
沢山の感情を伴う経験が、
人生の彩に繋がっていくのだと思います。
少しくらい遠回りをしても、
道に迷い寄り道をしても、
記憶に残る時間がいっぱいあった方が、
必ずやって来る「その季節」を、
豊かな気持ちで過ごせるのではないかと思うのです。
人生のページ数は生きた年月ではなく、
感動と発見によって埋め尽くされるに違いないからです。
この新しい年の始まりに、一度振り返ってみてください。
あなたは、いま何ページ目を生きていますか…。
本日も最後まで読んで頂きありがとうございました。
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